本年度はガンマ線照射と空気酸化によるカーボンアロイ炭の生成について成果があった。 試料にはヒノキ材を用い日本原子力研究所東海研究所の110kCiコバルト-60ガンマ照射装置を用い、2.5×10^3、2.5×10^4、7.5×10^4[C/kg]照射した。照射により、800℃炭素化の、炭素化収率は26.7、27.0、29.3から32.0%とガンマ線照射線量の増加と共に大きくなった。比表面積は同じ条件で379m^2/gから391m^2/gであり、収率に比べるとその増加率は小さかった。 空気酸化を行ったところ、300℃空気酸化では未照射物炭は370から460m^2/g、2.5x10^4照射物炭では380から520m^2/gと増加巾が大きくなりガンマ線照射効果を示した。2.5x10^4照射物を250℃で空気酸化する、この条件を最適とした。 この結果と環境との関連を汚染の原因となる二酸化炭素の放出量と浄化の目安となる比表面積について見る。廃木材1トンを焼却処理すれぱ1.73トンの二酸化炭素を空気中に放出する。しかも得られる比表面積は零である。しかし、これを800℃で炭素化すれば0.74トンに減少して比表面積が99km^2が得られる。更に2.5X10^4C/kgのガンマ線照射と空気酸化を併用して炭素化すれば0.65トンに減少するし、134km^2に増加する。これらの数値はこのカーボンアロイ炭が環境浄化に貢献する可能性の大きさを示している。 このようにして得られる炭素材料はガンマ線の透過中に、その高エネルギーが物質と相互作用して結合の切断、架橋などによる非加熱過程の構造変化を内部に均一に作る。これを加熱、炭素化するので、ガンマ線による別組織の炭素構造を持つ、即ち、カーボンアロイ炭が生成したと考えている。この組織は空気酸化により比表面積を増加させる性質を持っている。
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