研究課題/領域番号 |
10138208
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
藤原 康文 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (10181421)
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研究分担者 |
野々垣 陽一 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (40300719)
田渕 雅夫 名古屋大学, 工学部, 講師 (90222124)
竹田 美和 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (20111932)
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キーワード | 局在スピン / 希土類イオン / OMVPE法 / Er / InP / GaInP / 蛍光EXAFS法 / X線CTR散乱法 |
研究概要 |
「原子レベルでの結晶成長・不純物添加技術」と「ミクロ構造の直接的評価技術(蛍光EXAFS法やX線CTR散乱法)」との連携を基盤として、III-V族化合物半導体中に希土類元素の有する「局在スピン」を原子のレベルで精密配置することにより、電子と「局在スピン」間の相互作用を人為的に設計・制御し、新しい物性・機能を効果的に発現させることを最終目標とする。 希土類イオンとしてErを取り上げ、OMVPE法により各種III-V族化合物半導体にErを原子レベルで制御しながら添加する技術を確立することを当面の目標としている。本年度は、昨年度来取り組んでいるOMVPE法によるIII-V族化合物半導体薄膜へのErドーピングに加えて、添加母体の低次元化を行い、その特性を調べた。 得られた知見は以下のとおりである。 ● Er添加InPにおけるEr発光およびEr原子周辺局所構造への熱処理効果を検討した。Er発光ならびにEr原子周辺局所構造は熱処理に対して非常に安定であることが明らかになった。このことは、Er発光中心に関連するEr原子周辺局所構造は成長時の熱処理ではなく、成長表面での反応により形成されることを示唆している。 ● Er添加GaInPにおいて、Er発光の温度消光特性について調べた。Er発光の測定温度依存性より、4f電子励起を特徴づける二つの活性化エネルギーを求め、4f電子の励起機構を明らかにした。 ● Stranski-Krastanow(S-K)機構によりGaAs基板上に形成されたInAs量子ドットへのErドーピングを行い、その発光特性について調べた。GaAsバンドギャップ(波長815nm)より大きい励起エネルギー(above-bandgap excitation)を用いた場合にのみ出現する新しいEr発光線を見出した。この発光線の励起波長依存性より、InAs量子ドットに添加されたErに起因する発光であることを明らかにした。
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