研究概要 |
今年度の研究では、主に以下の(1),(2)について実施した。 (1) 開発したシステムの有効性の評価: これまでに開発してきたプログラムスライス抽出システムの、フォールト位置特定に対する有効性を実験的に評価した。具体的には,被験者34人をグループGlとG2に分け、Glに含まれる被験者には,スライス情報を含まないプログラムリストのフォールト位置、G2に含まれる被験者には,スライス情報を含むプログラムリストのフォールト位置を特定してもらい、それに要した時間についてGl,G2間で比較を行なった。実験の結果、スライス情報を含むプログラムリストのフォールト位置特定を行なった方が、スライス情報を含まないプログラムリストのフォールト位置特定を行なった場合より効率良くフォールト位置特定が行なえる事が確認できた。 (2) 関数呼び出し履歴を利用したプログラムスライスの提案: プログラムを実行して得られるわずかな動的情報と静的な解析とを組み合わせたプログラムスライス抽出技法を提案した。この技法により抽出されたスライスを、コールマークスライス(Call-Mark Slice)と呼ぶ。コールマークスライスの計算時には、まずプログラムのデータ依存関係と制御依存関係はあらかじめ静的に解析し、次にプログラム実行時に手続きと関数の呼び出しの記録を保存する。そして、これらの情報から変数の動的な依存関係を明らかにすることで、従来よりも効果的にスライスを抽出することができる。更に、我々はコールマークスライスを既に開発しているスライシングシステムに実装し、その有効性の評価も行った。
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