昨年までの研究により、以下のようなことが分かってきた。1.アルミニウム電極とダイヤモンド間でショットキーが形成され、ダイヤモンドをシリコンなどの半導体用いた検出器と同じように扱える。2.製作した検出器の電流電圧特性によりダイヤモンドに金電極側では、オーミックな電気伝導が得られない。これよりアルミニウム電極の反対側の面に対してオーミックな電極を形成することが問題になっている。そこで、オーミックな接合を得るため次のような方法を試した。(1)ダイヤモンドの上にチタン、白金の順番で2層の層構造電極を形成する。(2)ダイヤモンドの表面を水素イオンによって終端処理した上に、金電極を形成する。(3)ホウ素を不純物を含んだCVDダイヤモンドを堆積させてから電極を形成する。この結果、電流特性の順方向の立ち上がり電圧が(1)>(2)>(3)というようになり、これまで数KVの必要とした立ち上がり電圧が特に(3)の場合には1〜5V程度までになり、ダイヤモンドと電極間のオーミック接触が改善されたと考えられる。 また、ポーラリゼーション効果についても、信号低下までの時間が長くなることが分かりオーミック接触の改善により検出器の性能が向上したと言える。 しかし、いまだに信号低下が見られることからオーミック接触面でのエネルギーバンド歪みが考えられるので、さらなるオーミック接触の改善方法を研究している。 重粒子線を検出器に入射した実験により、ダイヤモンドのバルクほぼ全体が検出器として動作していることが確認された。また、この実験でポーラリゼーション効果は観測されなかった。
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