研究概要 |
【研究目的】 産業及び生活廃棄物の処理に大きな課題を抱えている人口約13,000人が生活している屋久島は、世界遺産に指定され、現在ゼロエミッション活動に取り組んでいる。この活動の中で、地域資源を活かし、廃棄物ゼロ、循環再生、環境保全をめざした「自然共生ー循環産業」となる新たな地域産業と雇用を創生する。この目的を達成するために、地域から排出される産業及び生活廃棄物を活用する生産ー環境保全を組み込んだ地域活性と「廃棄物ゼロをめざした地域資源循環型社会システム」を構想した「エコタウン」を構築する具体的プランを提言し、経済効果まで言及した。 【研究方法】 屋久島と言う限定された地域から排出される産業及び生活廃棄物のフローを調査し、現状分析を行った。これをもとに中期的視野に立脚した「地域エコタウン」を計画する基本設計を提言する。 【研究成果の概要】 (1)廃棄物の現状と対策:事業系から排出される廃棄物は、農業系(25,240t)、林業系(3,557t)、建築系(3,255t)である。可燃物の大部分は焼却、不燃物は埋立処分を行っている。一般廃棄物の中で生活ゴミのうち、生ゴミと農業系廃棄物は堆肥資源化されているが、排出量の20%にも満たない。また、林業系廃棄物の除・間伐材は山林に放置、製材端材はわずかな量が堆肥、敷料に使用されているに過ぎない。(2)ゼロエミッションを考慮に入れた地域資源循環型で、しかも再資源化構想を取り込んだシステムを構築した。すなわち、排出された各種の廃棄物(特に有機質系廃棄物)を活用し、メタンガスを発生させ、これの熱源でガス、コジェネ発電による熱源等を、自己及び地域供給する。一方、残さ物は林業系廃棄物と合わせ、炭化処理により炭化物を創生し、各種の資材原料として供給する。この地域完結型資源循環センターを設立し、技術・人的交流拠点としての「地域エコタウン」の核とする。
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