製鉄業における連続的につながる各種プロセス(コークス炉・CDQ、焼結機・クーラー、高炉・熱風炉、転炉、連続鋳造、連続加熱炉、焼鈍炉、溶融亜鉛めっき無酸化炉、発電設備、酸素製造設備他)の最新操業データを昨年度は収集した。この結果に基づき、本年度は主に熱の流れを解明する目的で修正エンタルピー法を使用して、その流れを明らかにした。 得られた結果は廃物、廃熱の発生場所およびその量を明確に示した。さらに本年度は製鉄所内のエクセルギーフロー解析を行い、量のみならず、「質的」な評価も明らかにすることができた。その結果回収率はエンタルピー基準で17.5%、エクセルギー基準で25%であることを示した。中低温の廃熱量は極めて多いこと。また、一方で1000℃を超える廃熱も手付かずで依然として存在しており、その回収技術の開発が鍵を握ることを示唆した。 データは現行のほか、省エネ前、予想される近未来のデータを揃えることにより歴史的変遷を明らかにした。理論最小エクセルギー量に対する到達度の観点から整理し、技術的進捗状況を定量的に評価した。その結果近未来には鉄鋼業の技術は飽和に到達すること。それを打破するためには鉄鋼業のみならず、異業種との共生を図ることが有望であることを示唆した。
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