研究課題/領域番号 |
10144101
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研究種目 |
特定領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
河村 公隆 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (70201449)
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研究分担者 |
廣川 淳 東京大学, 大学院・工学研究科, 講師 (20262115)
横内 陽子 国立環境研究所, 主任研究官 (20125230)
田中 茂 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (10137987)
中塚 武 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (60242880)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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キーワード | ハロゲン / 塩素 / 臭素 / エアロゾル / 光化学反応 / 海洋大気 / 海水 / 対流圏化学 |
研究概要 |
本研究では、大気中のハロゲンに着目し、観測と室内実験の立場から以下の課題を実施した。 (1)無機ハロゲンの測定と大気中での動態、(2)ハロゲンラジカル測定法の開発および対流圏における塩素・臭素分子の測定、(3)揮発性ハロゲン炭化水素の動態、(4)含ハロゲン有機物の検索と有機エアロゾルの解析、(5)非メタン炭化水素の炭素安定同位体比測定、(6)ハロゲン類の気液界面取り込み過程の動力学的研究、(7)生物界由来の揮発性ハロゲン化合物の生成機構と循環。 無機ハロゲンガスの自動連続測定のために拡散スクラバーを用いた自動測定装置を開発し海洋大気中での測定を行った結果、海洋大気中での海塩粒子からの無機ハロゲンガスの生成が認められた。又、隠岐島において、Cl_2の濃度は日中に減少し、HClは日中に高くなる傾向を見いだした。 塩素、臭素分子等の無機ハロゲン種の濃度測定を目指して化学イオン化質量分析装置を製作した。この装置を用いて臭化ナトリウム及び合成海塩上で、塩素の取り込みに伴う臭素分子の生成反応を確認した。一方、オゾンの取り込みに伴う臭素分子の生成も、高い反応確率で観測し、海塩上での不均一化学反応によるハロゲン放出の機構を明らかにした。 ハロゲン有機物の海洋・海氷中の分布を測定し、その変動要因を解析した。カナダ・アラート、沖縄波照間島、および北西太平洋上におけるCH_3Iの測定を行った結果、その大気濃度は地域により異なる季節変化を示した。北極域では年間を通して低濃度であったが、北西太平洋上では8-9月に高濃度(最高1-2pptv)を示した。 海洋エアロゾル試料中に臭化コハク酸、塩化コハク酸を発見した。臭化コハク酸はアジア大陸に近い西部北太平洋で高く、東に行くに従い減少する傾向を示した。一方、塩化コハク酸は西部から中部北太平洋にかけて増加傾向を示した。この結果は、海洋大気中で有機物の臭素化および塩素による置換反応が起こっており、ハロゲンは有機エアロゾルの変質に深く関わっている可能性を明らかにした。
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