研究課題/領域番号 |
10144103
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
中澤 高清 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30108451)
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研究分担者 |
中村 俊夫 名古屋大学, 年代資定研究センター, 教授 (10135387)
吉田 尚弘 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (60174942)
巻出 義紘 東京大学, アイソトープ総合センター, 教授 (40011746)
森本 真司 国立極地研究所, 助手 (30270424)
青木 周司 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (00183129)
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キーワード | 温室効果気体 / 二酸化炭素 / メタン / 一酸化二窒素 / ハロカーボン / 同位体 / 物質循環 / 地球温暖化 |
研究概要 |
本年度に得られた主な成果を要約すると、以下のようになる。 (1)日本上空の航空機観測に加え、太平洋上での船舶観測、南極昭和基地と北極ニーオルスン基地での地上観測から得られたCO_2濃度とδ^<13>Cを同時解析することによって近年の人為起源CO_2の収支を推定し、1980年代に正味として弱い吸収源であった陸上生物圏が、1990年代にはその強度を強めていたという重要な事実を見出した。(2)現在の大気に加え、過去20年にわたって保存されていた南北両半球の大気試料を分析し、得られたSF_6の経年的変化から期待される放出量は、生産統計から推定された値に近かったが、1990年以降は小さくなっており、SF_6の放出が減速している可能性を明らかにした。(3)開発した全球三次元大気輸送モデルを用いて、幾つかの放出・消滅シナリオをもとにして大気中のCO_2とCH_4の濃度と同位体比を計算し、観測による時間的・空間的変動と比較することにより、妥当と考えられるシナリオを得た。また、全球炭素収支モデルと再解析データを用いて長期にわたるNEPを計算した結果、大気中のCO_2濃度の年々変動にとって陸上生物圏が重要な役割を果たしており、その変化が特にエルニーニョや火山噴火などに起因した気温変動(場所によっては降雨も)によって支配されていることを明らかにした。さらに、全球海洋物質循環モデルによる年平均場の数値実験を行い、CO_2交換を基本的に支配している大気一海洋間のCO_2分圧差およびOCMIPプロトコルに基づいた海洋の吸収量を推定した。(4)大気-岩石圏における炭素循環の理解のために、観測を基にして化学風化に伴う炭素フラックスおよび地下深部から大気へのフラックスの評価を行うとともに、炭素循環におけるさんご礁の寄与を検討し、その役割がさんご礁によって異なることを明らかにした。
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