研究概要 |
本研究では生体分子の有する分子認識機能に着目し、これら生体分子を脂質からなるリポソームや二次元単分子膜の表面等にディスプレイする技術の開発とドラッグデリバリー、バイオセンシングといったナノスケールでのターゲティングへの応用を目指している。生体分子設計に関する研究が精力的に進められ、精密な分子認識と巧妙な化学反応を触媒する生体分子の構造形成機構が明らかになってきた。生体分子ではセルフアセンブリー能力による高次の構造体形成が進むことに特徴があり、このことを巧みに利用することでナノスケールでのモジュールを組み上げるナノファブリケーションが可能となる。本年度、研究代表者である松永は、磁性細菌の鉄輸送に関わる膜タンパク質MagAにプロテインAをディスプレイ可能なことを示し、その発現を確認した。さらに、アルカリホスファターゼ標識抗体と組み合わせたサンドイッチイムノアッセイにより、イムノグロブリンGおよびインシュリンの高感度測定へ適用の可能性について示した。また、酵母のペルオキシソーム膜に局在する膜タンパク質Pex14とMagAとの融合遺伝子を構築し、免疫染色により磁性細菌内でPex14の発現を確認した。また、研究分担者である小宮山は、モレキュラーインプリント法により、ステロイド類を認識するレセプターを作製し、基質認識能の評価と結合部位の構造に関する解析を進めている。後藤は、いかなる酵素にも応用できるような,非水系で高活性を発現できる複合化酵素の調製法をマイクロエマルションを利用して確立した.さらに,バイオターゲティング性を有する糖鎖型界面活性剤の合成をモデル反応として取り上げ,調製した複合生体触媒を用いて,様々な糖鎖脂質が高効率で合成できることを示した.小畠は考案したタンパク質分子に部位特異的に脂質分子を導入する方法を利用して、脂質修飾抗体結合タンパク質を設計し、その構築を進めている。
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