研究課題/領域番号 |
10145103
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
小林 猛 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (10043324)
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研究分担者 |
園田 昇 関西大学, 工学部, 教授 (20083983)
吉田 善一 京都大学, 名誉教授 (60025814)
野依 良治 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (50022554)
宮田 清蔵 東京農工大学, 学長 (90015066)
相澤 益男 東京工業大学, 学長 (00016742)
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キーワード | バイオターゲティング / セルフアセンブリー / 細胞表層工学 / ターゲティング素子 / ナノスフェア / 生体分子 / ダブルターゲティング |
研究概要 |
細胞同士がどのようにしてお互いを認識し合って、ある時は協調しあい、ある時は殺し合うのかは、自然界における生存競争に直接影響するので、非常にシビアなものである。このような細胞同士の認識には、自己を主張する分子の存在と、その分子の提示および放出を通した相手細胞へのターゲッティング機構が働いている。平成10年度から平成12年度まで続いた特定領域研究(A)「バイオターゲティングのための生体分子デザイン」の成果をまとめる研究を行った。本研究領域では、このターゲッティング機能を化学的視点からとらえ、ナノスケールで精密に設計できる標的指向性材料を創製し、標的指向性を効果的に発揮する工学的システムの構築を目指した。すなわち、(1)生体分子の分子認識機構の解明とターゲティング素子としての再構築、(2)生体分子の有するセルフアセンブリー機能を利用したターゲティング素子のナノスフェア表面への構築、(3)生物細胞や人工細胞の表層へのターゲティング素子の結合、(4)より高度な機能を持つターゲティング原理の開発やダブルターゲティング能を有する分子システムの工学的構築、に焦点を当て、既存の性能をはるかに凌駕する新規なターゲティング素子材料の創製とそのシステムデザインを研究した。 この研究を実施した結果、多くの基礎研究の成果が国際的な雑誌(Science, Nature Biotechnologyなど)に発表され、また、多くの実用化に向けた成果も得られた。以下は、その一例である。 1)超好熱原始菌由来のDNA polymeraseを高機能のPCR用酵素として商品化(東洋紡績から) 2)新規脂質リポソームを用いた悪性リンパ腫の治療法の提案(臨床治験開始) 3)抗体をアセンブリーしたナノ磁性微粒子による糖尿病自動検査システムの開発(ベンチャー企業を設立し、商品化を検討) 4)酵母細胞の表層の改良と澱粉を直接利用してアルコールに変換する酵母の育種(ベンチャー企業を設立し、実用化を検討中)
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