研究概要 |
紅色非硫黄光合成細菌R.rubrum中に含まれる転写調節因子CooAによる転写調節は,COにより制御されるという特異な性質を示すことが分かっている。すなわち、COが生理的なエフェクターとして機能し、CooAの活性を制御しているものと考えられる。CooAは、COセンサーとしてプロトヘムを含んでいる。ヘムを補欠分子族として有する転写調節因子は、CooAが世界で初めての例である。本研究では、CooAの転写活性化因子としての活性を評価するためのin vivo活性測定系を構築し、野生型および各種変異型CooAの活性評価を行なった。その結果、CooA中に含まれるヘムにCOが結合したCO結合型CooAのみが、標的DNAに結合し、転写活性化因子として機能することが分かった。 CooAは、DNA結合モチーフとして、helix-turn-helix構造を有している。CooA中のDNA認識ヘリックス上のアミノ酸残基のうち、Arg177、Gln178、Ser181に変異を導入した場合には、CooAの転写活性化因子としての活性が消失した。したがって、これらのアミノ酸残基が、CooAによるターゲットDNAの特異的認識および結合に関与しているものと考えれる。Ala183をThrあるいはIleに置換した変異型CooAでは、エフェクターであるCOが存在しなくても、転写活性化因子としての活性を示すことが分かった。これは、野生型においてCO結合時に誘起されるコンフォメーション変化と同様なコンフォメーション変化が、変異導入により誘起されたためであると考えられる。
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