1) モノクローナル標識マグネトリポソームの作製 磁性酸化鉄超微粒子である磁性酸化鉄マグネタイト(Fe304)を包埋するリン脂質二重膜としてTMAGを含んだ正電荷脂質包埋マグネタイト(Magnetite Cationic Liposome:MCL)を作製した。この脂質膜の表層にモノクローナル抗体G-22を結合させる事は容易であり、特別なキレート剤等は必要なく活性を保持したままwhole lgGでもF(ab')2でも接合し得た。 2) イムノリポソームの特異的集積性の検討 G-22抗体標識化マグネトリポソーム(イムノリポソーム)の細胞への特異的集積性を検討するため、各種ヒトグリオーマ細胞株を標的細胞として細胞間で集積性の差を検討した。リポソーム内にplasrnid DNAとしてpCH110にてLacZ geneをtransfectionさせ、β-galactosidase activityを測定すると、標的細胞抗原の強発現の細胞はその発現量やイムノリポソームの投与総量によりβ-galactosidaseのactivityは変動したが、抗原発現量の少ない細胞ではこの様な変化を認めなかった。 3) イムノリポソームの集積性向上の条件の検討 イムノリポソームの標的腫瘍細胞へ効率よいバイオターゲッティングを検討するため、In vitroでG-22抗原強陽性及び弱陽性ヒト脳腫瘍細胞モデルを用いてイムノリポソームの投与方法を検討した。その結果、イムノリボソームにLacZ geneを包埋し、ヒトグリオーマ細胞に接触回数を複数回繰り返すことで抗原強発現標的細胞に対するβ-galactosidase activityの発現率は細胞へのイムノリポソームの接触回数が増えることでそれぞれ上昇傾向を認め、細胞への集積性を向上させるためには複数回のイムノリポソーム投与が有効であることを示唆した。
|