亜鉛フィンガー型DNA結合モチーフは、その繰り返し構造ゆえに約3塩基ずつ認識するモジュールの連結体として見ることができ、このような特徴は亜鉛フィンガーモチーフの数を変化させることにより、任意の塩基数を認識させることが可能である。転写因子Sp1のCys_2-His_2型亜給フィンガニドメインを用いた18および27塩基加NA配列を認識する人工蛋白質の創製に始めて成功した。すなわち、Sp1の3個の亜鉛フィンガー領域を基本単位として、5アミノ酸残基のリンカーで連結させた新規蛋白質Sp1ZF6とSp1ZF9を遺伝子工学的に合成し、そのDNA結合様式ゲルシフト法、フットプリント法、メチル化干渉法などを用いて追究した。その結果、Sp1ZF6とSp1ZF9はほぼ同程度のDNA結合親和性を示した。また、GCボックスを3個連続して含むDNAフラグメントを用いて結合実験を行ったところ天然Sp1は互いに隣接しない位置に2公子結合するのに対し、Sp1ZF6とSp1ZF9はGCボックスの3'末端側の1ヶ所で1分子結合することが認められた。特に重要なことは、Sp1ZF6とSp1ZF9は、それぞれ連続した18および27塩基対配列に結合していることで、これは新規蛋白質が任意の長さの連続する非対称DNNA配列に選択的に結合できることを強く示唆している。このような亜鉛フィンガーによるDNA塩基認識を基礎にした新しい遺伝子制御分子の創製は、21世紀の遺伝子治療への貢献が期待される。
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