本光合成細菌の自己凝集は、増殖に適した倉塩濃度3%よりも、増殖に不向きな5%の培地で生育する場合にむしろ顕著である。そこで、凝集に関わると予想される細胞表層局在因子を凝集性細胞から調製し、非凝集細胞を検定細胞として細胞凝集系の再構成をすることを目的として、本菌の自己凝集に関与する核酸様因子を同定し、より有効な細胞表層の設計改良を想定したうえで、細菌の凝集機構を明らかににし、水処理技術や種々の有用物質生産系へと応用するすることを目的とした。 1) 凝集細胞から遊離させた細胞未層の高分子性物質を抽出し、アニオン性コロイド粒子であるカオリンを用いて、水処理技術の定性分析・凝集活性定量法を確立した。 2) 低塩濃度で得られる凝集性の弱い細胞懸濁液に対して、特に2価金属イオンの存在下で、表層バイオポリマーが凝集活性を示すことを見い出した。 3) DNaseまたはRNaseで処理した凝集細胞と、未処理細胞を走査型および透過型電子顕微鏡観察により比較観察した。 4) 以上の知見をもとに、凝集性を有する光合成細菌の有効な水処理系における活用事例研究として、高密度細胞バイオリアクターを構築し、塩分を含む種々の有機排水のモデルケースとして、酢酸を標的に好気的な高速処理を目詣した結果、タワーリアクターの上部に簡便な沈降ゾーンを設けるだけで、強い凝集力を有する本菌体は殆ど流出されず、DO制御による連続培養には、42.4gMLSS/lの高濃度に保持することができた。
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