研究概要 |
(1) 複合脂質膜のin vitroでの制がん効果 リン脂質(ジミリストイルホスファチジルコリン,DMPC)およびミセル界面活性剤(ポリオキシエチレンドデシルエーテル,C_<12>(EO)_n(n=4,10,23))を構成成分とする複合脂質膜の白血病細胞に対する増殖抑制効果は、DMPC/10mol%C_<12>(EO)_<10>複合脂質膜で顕著に大きく、ミセル分子の親水鎖長依存性が明らかとなった。 (2) 複合脂質膜の制がんメカニズム 蛍光顕微鏡写真、アガロースゲル電気泳動、フローサイトメトリーおよびマイクロフィジオメーターによる解析から、複合脂質膜がアポトーシスを誘導していることが明確となった。マイクロフィジオメーターによる細胞内応答の観測結果はフローサイトメーターから得られた断片化DNA含量の経時変化とよく一致することも初めて見出された。(1)癌細胞への複合膜の特異的融合、(2)細胞膜表面のレセプターのコンホメーション変化、(3)核へのシグナルの遮断(あるいはカスペースの活性化)、(4)アポトーシスによる細胞死という細胞膜をターゲットとする新しい制がんメカニズムを考えた。 (3) 複合脂質膜のin vivoでの治療効果 in vitroにおいて抗腫瘍効果が顕著であったDMPC/10mol%C_<12>(EO)_<10>複合脂質膜を用い、in vivoにおける治療効果を担癌マウスを用いて検討した。コントロール群に比べ治療群は高い治療効果(延命率166〜183%)が得られ、臨床への応用が期待できる。
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