研究課題/領域番号 |
10146230
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
和田 雄二 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (40182985)
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研究分担者 |
北村 隆之 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (40294037)
村越 敬 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助教授 (40241301)
柳田 祥三 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10029126)
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キーワード | 鎖状芳香族化合物 / 導電性高分子 / ポリパラフェニレン / 多電子還元 / 二酸化炭素 / ジアニオン / バイポーラロン / 光触媒 |
研究概要 |
導電性高分子であるポリパラフェニレン(PPP)あるいはポリピリジンの電子構造は無機化合物半導体に類似した挙動をし、価電子帯と伝導帯とから構成されるバンド構造で記述することができる。これらは、トリエチルアミンを電子供与体とし、二酸化炭素、水分子、有機不飽和化合物の還元反応に対する可視光下における光触媒作用を発現する。極めてネガティブな還元電位を有するCO_2を1電子還元するためには、高いLUMOを有する光触媒が必要であり、光触媒として鎖長が4以下のオリゴパラフェニレンでなければ、CO_2還元反応は進行しない。しかし、これらは紫外光しか吸収せず、可視光利用系構築のためにはLUMOの電位は低いが、共役系の長いポリマーを用いなければならない。 我々は可視光を吸収するポリパラフェニレン(PPP)を用いたCO_2固定系として、ペンゾフェノンに対するCO_2固定反応系を見いだし、PPPの光触媒機構における連続2電子移動を明らかにした。ペンゾフェノンおよびTEAのDMF溶媒にPPPを分散し、CO_2を飽和した後、400nm以上光を照射するとグリコール酸が生成した。^<13>CO^2を反応基質として用いることにより、ベンジル酸中のカルボキシル基が確かに気相のCO_2に由来するものであることを確認した。ベンジル酸以外に、ペンズヒドロール、ベンズピナコールが生成することがわかった。反応系をさらに詳細に分析したところ、上記の3生成物の他に1,1-ジフェニル-1,2-プロパンジオールの生成が確認された。PPPをナトリウム還元し、EPR観察したところラジカルアニオンおよびさらに1電子還元されたジアニオンの生成が確認された。このジアニオンがべンゾフェノンを連続2電子還元することにより生成するジアニオンがCO_2固定の反応中間体であることを提案した。
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