研究課題/領域番号 |
10146238
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
又賀 駿太郎 九州大学, 機能物質科学研究所, 教授 (10038599)
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研究分担者 |
澤田 剛 九州大学, 機能物質科学研究所, 助手 (90240902)
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キーワード | [3.3]オルトシクロファン / 多層シクロファン / スルースペース相互作用 / X線結晶構造解析 / アセタール化 / UVスペクトル / ベンゼン / ナフタレン |
研究概要 |
スルースペース相互作用が可能な位置にベンゼン環を積層したパラシクロファン、メタシクロファンは垂直方向にパイ電子系を拡張した系であるが、これらのシクロファンでは、ベンゼン環は平面性を保持出来ずボート型に歪んでいる。著者らは、ベンゼン、ナフタレン環が平面性を保持したまま接近して積層した3層、4層[3.3]オルトシクロファンを合成し構造を明らかにした。以下に結果を示す。 1) 弱塩基を用いてアセトンジカルボン酸ジエステル5とビス(プロモメチル)ナフタレンあるいはビス(プロモメチル)ベンゼンを反応させ、ナフトシクロヘプテンを合成し、次いで、テトラキス(プロモメチルベンゼン)を弱塩基を用いて反応させて、4個の芳香環をを持つトリスケトンテトラエステルを合成した。これを加水分解、加熱脱炭酸してトリスケトン体を得、ケトン基をアセタール化して4層積層オルトシクロファンを合成した。ベンゾ/ベンゾ/ベンゾ-、ナフト/ベンゾ/ナフト-3層オルトシクロファン、ベンゾ/ベンゾ/ベンゾ/ベンゾ-4積層オルトシクロファンも同様な方法により合成した。 2) 多層積層ファンの1H NMRでは、上下の芳香環で挟まれたベンゼン環のプロトンは高磁場シフトした。また、3層、4層ベンゾファンのUVスペクトルでは、積層構造に基く吸収帯の長波長シフトが見られた。 3) 3層ナフト/ベンゾ/ナフト- 及びベンゾ/ベンゾ/ベンゾ-オルトシクロファンのX線結晶構造解析を行った。いずれのファンにおいても、積層したベンゼン環は平面性を保持したままスペース相互作用が可能な位置に近接し、積層した環の面間角は、2層ファンからから3層ファンへ積層数が増加するにつれて狭まっている。
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