研究概要 |
巨大分子雲(Giant Molecular Cloud:GMC)は銀河の分子雲の質量の90%を占め、かつ、大質量星を生成する領域である。マゼラン雲では30Dorのような巨大質量星が生成されているため、銀河系内の大質量星生成領域との比較研究が有効である。我々はX線衛星ASCAや富士山頂サブミリ波望遠鏡をもちいて、巨大分子雲の観測的研究をおこなった。 日本ではサブミリ波を観測する適地がなかったことによりこれまでにサブミリ波が観測できなかった。我々はサブミリ波(>300GHz,<1mm)を高感度で観測することを目的とした富士山頂サブミリ波望遠鏡(口径1.2m)を製作した。1998年7月末に望遠鏡を富士山頂に輸送し設置調整をしたのちに9月には、日本で初めての中性炭素原子線の観測に成功している。また、10月より衛星通信をもちいた遠隔制御による運用を開始している。中性炭素原子線(C_I)によりオリオン星雲、オメガ星雲などの巨大分子雲の広域観測をおこない、中性炭素原始が豊富に存在することをあきらかにした。 X線観測とサブミリ波観測から、XDR(X-ray dissociation region)の比較検討をおこなった。巨大分子雲内の電離度や構造などの物理状態の研究をおこない、マゼラン雲での大質量星生成領域の理解を深める。 X線衛星「あすか」による代表的巨大分子雲S140(距離0.9kpc),M17(2.2kpc),CepA(0.7kpc)の観測をおこなった。これらの天体から、NGC6334と同様の高温プラズマの存在を明かにしている。
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