本研究の目的は、星間分子雲の内部で形成されている原始星のうち、一番明るい星(即ち一番大きな星)の質量が、母体分子雲の質量とどのような関係にあるのかを明らかにすることである。分子雲で形成される最大質量の星は、分子雲の寿命を決定する上で重要な役割を果たす。また、天文学上の大問題である「星の初期質量分布関数」の解明にも貴重なヒントを与える。 本研究では、分子雲と原始星の探査を銀河系内および系外銀河「大マゼラン星雲」内の星形成領域で行い、様々な質量をもつ約500個の分子雲サンプルを収集した(分子雲質量範囲=1〜200万太陽質量;主に文献サーベイによる)。その結果、一番大きな原始星の質量と母体分子雲の質量の間には、非常に良い相関関係があることが判明した。また、高温・高圧の電離水素領域(HII)中の分子雲においては、孤立した分子雲よりも光度で1-3桁明るい星が形成されていることも分かった。さらに、原始星の最大光度の分布は、母体分子雲質量の関数として、良く決まった上限をもつことも明らかになった。現在、得られたデータを説明するための星形成モデルの構築に取り組んでおり、平成11年度中には学会講演・学術雑誌・国際会議等で研究成果を発表する予定である。
|