研究課題/領域番号 |
10147208
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
小川 英夫 大阪府立大学, 総合科学部, 教授 (20022717)
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研究分担者 |
水野 亮 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (80212231)
福井 康雄 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30135298)
米倉 覚則 大阪府立大学, 総合科学部, 助手 (90305665)
大西 利和 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30314058)
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キーワード | 大マゼラン雲 / 巨大分子雲 / 星団 / 電波天文学 / スーパー・ジャイアント・シェル |
研究概要 |
本研究はチリのラス・カンパナス天文台に移設した名古屋大学「なんてん」望遠鏡を用い、大・小マゼラン銀河内の分子雲の掃天観測を行ない、銀河ごとの物理環境の違いが分子雲形成および星・星団形成にどのような影響を与えているかを観測的に明らかにすることを目的としている。我々は一昨年度までに行った第一期掃天観測により、大マゼラン銀河中に100個を越える分子雲を検出し、巨大星団との相関から分子雲の形成と散逸が数百万年程度の短時間で起きていること等多くの観測成果を得ている。それらの成果をさらに発展させるため、4倍の積分時間をかけて高感度の詳細観測を行った。これまでに大マゼラン銀河全体の56%に相当する20平方度の高感度観測が終了している。高感度観測により1万太陽質量程度の分子雲まで検出することが可能となり、直径3千光年ほどの巨大な空洞であるスーパージャイアントシェル(以下SGS)に付随する比較的小質量の分子雲が新たに見つかってきた。中でも大マゼラン銀河中で最大のSGSであるLMC4領域では、第一期観測では検出されなかった12個の分子雲も含め、計18個の分子雲が検出された。このうち17個はシェル境界に沿って分布し、1個だけがシェルの内部に存在する。内部に存在する分子雲はシェルの中心方向から彗星状に延びており、分子雲が膨張シェルと相互作用していることを示唆している。また、LMC4領域で検出された分子ガスの約50%は隣接するSGS LMC5との間に挟まれた領域に集中しており、これは2つの膨張するSGSによりガスが効率的に掃き集められた結果であると考えられる。また、18個の分子雲のうち11個にHII領域、8個に巨大星団が付随しているが、それらは分子雲中でシェルの中心に近い側に位置する傾向が見られた。このことは膨張シェルによるガスの圧縮で星・星団形成が誘発されていることを初めて観測的に示したものである。
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