研究課題
本年度は新規な高密度プロチウム材料を得る目的で、研究を5つのグループで分担し、以下の結果を得た。1) V基BCC合金にラーベス相を複合化させることにより良好な活性化能を有する高密度プロチウム合金を得ることを検討した。その結果、V_<77.8>(Ti_<0.33>Ni_<0.33>Zr_<0.33>)_<2.22>組成において常温常圧付近において、活性化特性およびサイクル特性に優れ、2.0mass%のプロチウム吸蔵量を示す合金を得た。さらにV_<70>Zr_1Ti_<12>Cr_<17>合金においては2.48mass%を示した。(岡田)2) 軽量かつ高容量にプロチウムを含有する新規な合金を見いだすことを目的とし、MgNi_3B_2のプロチウム吸蔵合金としての可能性について検討した。その結果、メカニカルアロイング法がMgNi_3B_2の作製には極めて有効であることが判明した。しかしながら、50atmの水素ガス雰囲気下、室温から673Kの温度範囲ではプロチウム化合物を形成しなかった。(永井)3) 微細構造およびアモルファス構造を有し、多孔質化させたMgNi_2電極を作製し、その電気化学的特性について検討した。その結果、得られた合金粉末を用いてMgNi_2電極を作製する際に、最適な焼結温度823Kにより電極表面積が最大となり、長いサイクル寿命を示した。(渡辺)4) BCC系合金におけるプロチウムの占める格子間位置などを検討した。その結果、「ラーベス相関連のBCC合金」の中性子リートベルト解析による、結晶構造解析、水素圧力組成等温線図の同位体効果、中性子散乱による水素の周囲のサイトについての知見を得た。(秋葉)5) 安定なプロチウム化合物を形成する考えられているTi_2Niに合金の構成元素として酸素を添加することを検討した。その結果、プロチウム化合物は非常に不安定となり、Ti_4Ni_2Oは、室温、数気圧において、また電気化学的にもプロチウムの可逆的な吸放出をすることが判明した。(境)
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