研究課題
本領域開始当初の目的である、現用の希土類合金の2倍のプロチウム吸蔵量である2.6mass%を有する合金開発が、平成11年度の当初に本研究グループより達成された。これにより、目標を100℃以下、3mass%プロチウム合金開発へと上方修正し、本研究グループもそれを達成することを目的として、以下の成果を得た。1)体心立方構造を有するTi-Cr-V合金において、V量を減ずることにより常温において、またはさらに95℃に昇温することにより、常圧より低い圧力範囲で存在するプロトライドが、高圧側ヘシフトし不安定化することが分かった。また得られた知見を元に、合金のV含有量を5〜7.5at%において、水素脱気温度を95℃とし、その後40℃でプロチウムを吸蔵させることで約3mass%のプロチウムを吸蔵することが判明した。2)超高圧合成法により新規プロチウム化合物の探索を行った。その結果、Mg-Ni-H系では超高圧水素雰囲気下において単純斜方晶系に属する未知の化合物が観察された。またCa-Ni-H系では、これまでに報告されていない、NiよりCa量が多いCsCl型構造を有する化合物が合成された。3)マイクロペースト電極法を用いて、アモルファスMgNiの吸放出挙動を明らかにした。さらに、MgNiの容量劣化の原因をCV法とポテンシャルステップ法から検討した。その結果、電極表面に形成されたMg(OH)_2は水素の拡散にほとんど影響せず、電子移動過程を阻害することが明らかとなった。4)Ti-V-Mn合金において、プロチウム化に伴う結晶構造の変化について調査した。その中で、常圧以下に位置するプロトライドの結晶構造が、これまでにV-H系で報告されているものとは異なるBCT構造であることが分かった。この相が関与するPCT曲線はこれまでに報告されているBCC合金とは異なり、ヒステレシスが比較的小さいことが判明した。
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