研究課題
特定領域研究(A)
本領域研究の具体的達成目標の一つとして現用希土類系ミッシュメタル合金の2倍のプロチウム容量合金の開発を掲げている。本研究グループはその中で、これまで報告されていない新規な結晶構造を有する高密度プロチウム化合物や、構造は既知であるが合金組成が新規な高密度プロチウム合金を探索することを主目的としている。研究を開始した平成11年にはBCC構造を有するV-Ti-Cr系合金において、2.6mass%(40℃)のプロチウム吸蔵量を得ることや、グラファイトで表面改質したアモルファスMgNi合金の電池特性が室温で評価され、放電容量が510mA・h/gと極めて高い価を示すことが見出される等、ほぼ、当初の目標が達成されたと判断された。従って達成目標を通産省のWE-NET計画の100℃以下、3mass%のプロチウムを有する合金開発に上方修正した。幸いにも、平成12年6月にはV量の少ないTi-Cr-V系合金において3mass%のプロチウムを吸蔵することが判明し、さらに平成13年7月にはVフリーのTi-Cr系合金においても同様な高吸蔵量を示すことが発表された。有効水素吸蔵量はWE-NET計画の目標には達していないものの、実用的な合金としてさらなる成果が期待されている。従って、本領域研究の具体的達成目標は、本グループの努力により、ほぼ達成されたと判断される。また、Gpaオーダーのアンビル式超高圧法により、Mg-遷移金属やCa-遷移金属系について新化合物合成の可能性について検討した結果、次のような新化合物を得ることができた;Mg2Ni3H3.4、Ca2NiHy、MgCaH4、MgY2Hy、Mg3MnHy、MgNi3B2等。今後も引き続き新たな高プロチウム含有化合物が合成されることが期待される。
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