研究課題/領域番号 |
10148106
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
林 安徳 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (80010940)
|
研究分担者 |
横堀 壽光 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (00124636)
湯上 浩雄 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (60192803)
|
キーワード | プロチウム / エネルギーバンド構造 / 光電気化学 / ヘリコンスパッタ / カソードルミネッセンス |
研究概要 |
プロチウムはすべての物質の中で最も小さい質量とイオン半径をもつため、物質中に容易に侵入し、かつ、物質中のサブナノ格子空間を自由に移動し得るとともに、材料格子欠陥などと種々の相互作用を持つことから、新しい機能の発現が期待される。本サブグループでは、各種材料中へのプロチウム導入により誘起される新しい機能発現を追求することを主目的として研究を進めている。具体的には、金属酸化物や窒化物皮膜あるいは人工的積層薄膜にプロチウムを導入することにより、材料のエネルギーバンド構造を変化させて、主に光学特性・光電気化学特性において新しい機能の発現を追求し、その機構を解明する。また、イオン伝導性の高い材料中でのプロチウム吸収・拡散のダイナミックスを電気的・光学的手法により検討して、エネルギー変換の分野での機能を追及するともに、プロチウム伝導性超格子を作製し、プロチウムと酸素イオンや電子系キャリアーとの相互作用を利用した新しい機能の発現を目指している。本年度はリアクティブスパッタ装置、及びヘリコンスパッタ装置によりAlN、CuNなどの窒化物薄膜や、ZnOなどの酸化物薄膜を作製し検討対象とした。これにプロチウムをイオン照射により導入し、平成10年度に新規購入したカソードルミネッセンス計測装置を用い、プロチウム導入により発現した新しいエネルギーバンドの特性を調べた。透明電極として期待されているZnOでは、プロチウム導入により導電率が著しく向上することを見出し、実用化への基盤を築いた。さらに金属人工格子薄膜にプロチウムを導入することにより、磁気特性が改良されることを見出し、Pd-Co、Pt-Co人工格子で磁気異方性が格子歪を起源としていることを示し、プロチウム導入による新しい機能の発現の可能性を示唆した。
|