研究概要 |
本年度は、混合原子価錯体Cs_2Au_2X_6(X=Cl,Br and I)の電子構造と圧力誘起電子相転移を詳細に調べた。研究結果は、それそれ、PRBとJCPに掲載されている。なお、研究は博士課程の学生(X.J.Liu)が中心となって進められている。代表的な研究成果を列挙する。 (1) 電子構造混合原子価金策体単結晶と用いて、絶対反射率の偏光依存性を測定した。この測定は、絶対反射率測定系の立ち上げもかねていた。得られた5つの電子遷移を、3つの分子内遷移と2つの分子間遷移に分類した。 (2) 圧力誘起電子相転移 高圧ラマン分光法を用いて、温度-圧力電子相図をX=Cl,Brに対して決定した。ラマン散乱モードの因子解析により、圧力誘起で混合原子価状態から単一原子価状態へ転移が可能であることが明らかとなった。 (3) 光誘起電子相転移 年が明けてから、光誘起により、混合原子価状態から単一原子価状態へ転移が可能であることを発見した。来年度は、この新規現象の全体像の解明を目指す。
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