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1998 年度 実績報告書

電子が直接的に関与する相転移現象の熱力学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 10149229
研究機関大阪大学

研究代表者

徂徠 道夫  大阪大学, 理学部, 教授 (50028172)

研究分担者 宮崎 裕司  大阪大学, 理学部, 助手 (70252575)
キーワード集積型金属錯体 / 分子磁性体 / 有機磁性体 / 低次元磁性体 / 相転移 / 磁性 / 熱容量 / エントロピー
研究概要

熱力学は物質を相として捉え,そのエネルギーやエントロピーを通して物質の本質を明らかにする学問分野である。本研究では,幾つかの集積型金属錯体の熱容量測定を行い,相転移の機構に関する研究を行った。
1. MMX型1次元ハロゲン架橋複核白金錯体Pt_2(dta)_4Iの相転移
本錯体は電気伝導が300Kから350Kにかけて見かけ上,半導体→金属→半導体と異常な挙動を示し,しかも電気抵抗率の温度変化が負のヒステリシスをもつという,熱力学的には考えにくい現象を示すことが報告されている。本錯体の熱容量測定を行い,373.4Kに相転移を観測した。この相転移は秩序・無秩序型であり,4つのdta配位子のねじれ構造に基づく2つの配座間の動的無秩序化がシンクロナイズして起こることを明らかにした。
2. 積層型異種金属錯体{X[MM'(ox)_3]}_nの磁気相転移
積層型異種金属錯体{X[MM'(ox)_3]}_n(X=NBU_4^+,PPh_4^+;M=Cu^<2+>,Fe^<2+>,Mn^<2+>;M′=Cr^<3+>,Fe^<3+>)はox配位子の遷移金属への配位結合の違いにより,2次元構造と3次元構造の2通りの可能性が考えられている。この系列のほとんどの錯体は粉末結晶でしか得られないので,正確な結晶構造が決定されていない。これら錯体の熱容量を測定し,強磁性やフェリ磁性相転移を観測した。また相転移の高温側には低次元磁性体に特徴的な短距離秩序による熱異常を見出した。相転移の高温側の熱異常を2次元および3次元強磁性ハイゼンベルクモデルと比較したところ,全ての錯体が2次元モデルでうまく表された。このことから,これらの錯体が2次元構造をとっていることを明らかにした。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] A.Nishimori: "Thermodynamic Study on Thermochromic Phase Transition in Isopropylammonium Trichlorocuprate" Journal of Physics and Chemistry of Solids. 60. (1999)

  • [文献書誌] K.Asano: "Calorimetric Studies on Antiferromagnetic and Structural Phase Transitions of the Metal-Assembled Complex, MnCu (obbz)/5H_2O" Bulletin of the Chemical Society of Japan. 72. (1999)

  • [文献書誌] M.Sorai: "Magnetic Properties of Organic Materials, Chap.23" Marcel Dekker, Inc., 475-490 (1999)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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