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1998 年度 実績報告書

4つのリンを配位原子に持つ金属錯体フラグメントの集積化

研究課題

研究課題/領域番号 10149235
研究機関広島大学

研究代表者

三吉 克彦  広島大学, 理学部, 教授 (60033924)

研究分担者 水田 勉  広島大学, 理学部, 助手 (70221603)
キーワードリンマクロサイクル錯体 / 積層構造 / 集積体 / Pd^<2+> / Pt^<2+> / シアノ錯体
研究概要

平面4配位型のPd^<2+>やpt^<2+>に4つのリンが配位すると、同族の窒素を配位子とする場合に比べ中心金属がリンから強く電子供与を受けるために、軸方向からの配位は不利になる。従って、リン配位子の電子供与能の程度や立体構造を制御する必要がある。さらに、フラグメント同士をつなぐ適当なスペーサーを見いだすことも重要である。
[M(P)_4]^<2+>にリン配位子として単座および2座のリン配位子を用いると集積体の結晶を成長させる過程で分解が起こった。そこで本研究では、リン配位子として扁平な構造を有しかつ錯体の安定性も高めることが出来るリンマクロサイクル錯体を用いた。一方、スペーサーとしては、Cl^-の他に2価および3価のアニオンとしてシアノ錯体を用いた。その結果、trans-[Pt(Me_<4->[14]aneP_4)]Cl_2,trans-[Pd(Me_<4->[16]ane-3,11-dienP_4)][Ni(CN)_4],およびtrans-[Pd(Me_<4->[16]ane-3,11-dienP_4)]_3[Fe(CN)_6]_2,の結晶中で1次元の積層型カラムを見いだした。何れも、対イオンが錯体フラグメントにサンドイッチされた構造を採っている。しかしながら、[M(P)_4]^<2+>の金属イオンとスペーサーとの間には、ダイレクトな結合が無かった。一般に、シアノ錯体をスペーサーとした系では、シアノ錯体の窒素上のローンペアが金属錯体フラグメントに供与されて集積化が達成される。しかしながら、本研究では、シアノ基の空のπ^★軌道への逆供与が推定される構造が、何れの結晶中にも共通してみられた。このような相互作用は、リンを配位原子に持つ金属錯体フラグメントが、電子リッチであることに由来する独特の性質であると考えられ、ルイス酸性の金属錯体をスペーサーとして用いうる可能性を示唆している。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Katsuhiko Miyoshi: "Novel Synthesis,X-ray Crystal Structures,and Spectroscopic Properties of Metalated Hypervalent Phosphorus Compounds,Cp (CO) LFe {P (OC_6H_4Y) (OC_6H_4Z) } (L=CO,P (OPh) _3,P (OMe) _3,PMe_3;Y,Z = NH,NMe,O)" Organometallics. 17. 3522-3531 (1998)

  • [文献書誌] Katsuhiko Miyoshi: "Migration Reaction of a Hypervalent Fragment : Base-Induced Migration of a Phosphorane Fragment from Iron to the Cyclopentadienyl Ring in Cp (CO)_2 Fe {P (OC_6H_4Y) (OC_6H_4Z) } (Y,Z=NMe,NH,O)" Journal of the American Chemical Society. 120. 6715-6721 (1998)

  • [文献書誌] Tsutomu Mizuta: "Chromatographic Resolution of a Diastereomeric Mixture of Tris (trans-1,2-diaminocyclohexane) cobalt (III) by Bis (m-tartrato) diantimonate (III) Anion and Association Modes Found in Their Diastereomeric Salts" Bulletin of the Chemical Society of Japan. 71. 1055-1064 (1998)

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公開日: 1999-12-13   更新日: 2016-04-21  

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