研究概要 |
細胞増殖は増殖因子,サイトカイン等の細胞外刺激によって制御を受けている。Tリンパ球の増殖因子であるインターロイキン2(IL-2)の受容体、γc鎮にはJak3チロシンキナーゼが会合しており、c-myc誘導ならびに細胞増殖に必須の役割を果たしている。我々はJak3ならびにJak2によってチロシンリン酸化される新規分子、STAMがIL-2受容体ならびにGM-CSF受容体からのc-myc誘導や増殖シグナル伝達に関わる機能分子であることをすでに明らかにしている。本研究では、STAMと,STAMに会合し細胞増殖抑制に作用するHgs(Hrs)のinvivo機能解析のために、これらの遺伝子のホモ欠損マウスを作出した。LacZの挿入によりHgsのcoiled-coil構造以下を欠損した形のtargeting vectorを用いて、Hgsノックアウトマウスを作成した。Hgs+/-マウスを交配し得た39匹のF2マウスにHgs-/-マウスが存在しなかったため、E6.5からE14.5のマウス胎仔の解析を行った。Hgs-/-はE10.5以後に認めず、E9.5以前に存在した。Hgs-/-は明らかな形態異常を示し、胎仔初期発生の障害力がみられた。これらの結果からHgsがマウスgastrulationにおいて必須の役割を担って1/)ることが示唆された。一方、STAMホモ欠損マウスは成長遅延と体重減少により、生後16週前後で死亡したが、少なくともin vitroにおけるT細胞の反応性は正常であった。STAMの新規ファミリー分子、STAM2を同定した。STAM2はSTAMとほぼ同等の機能を持つことが分かったことから、STAMホモ欠損マウスではSTAM2によって機能が代償されている可能性が考えられた。
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