研究概要 |
【1】 キメラCD44を用いた新しい接着シグナルの検出系の確立とCD44の機能的エピトープの解析:CD44の細胞内領域にFasのdeath domainを含む細胞内領域を連結したキメラ分子をCD44を発現しないAKR-1細胞に遺伝子導入し、CD44の接着シグナルを細胞死へ変換する新しい検出系を確立した。この検出系とCD44の異なるエピトープに対する単クローン抗体(mAb)を用いて、CD44のシグナル形成に関与する細胞外領域の特定を試みた。その結果、LyS49を含むCD44のヒアルロン酸結合に関連するエピトープを認識するmAbおよびPro108/Thr113を含むエピトープに対するmAbにアポトーシス誘導活性が認められた。 【2】 血管内皮細胞に発現しtransmigrationを制御する信号伝達分子の検索: リンパ節の高内皮細静脈(HEV)はその表面に接着した細胞を高率にtransmigrateさせる特徴をもつ。そこで、精製したHEVから3′末端特異的cDNAライブラリを作製し、各々約1,500クローンの塩基配列(gene、signature:GS)の決定とGSの出現頻度解析を通じてHEVの「遺伝子発現プロフィル」を得た。また、CD31^+内皮細胞やリンパ球を含む他のライブラリの解析リストとの比較およびデータベース検索を通じてHEV特異的遺伝子の探索を試みた。その結果、HEVにはendoglinやCD34などの既知の内皮細胞マーカーに加え、炎症反応に関連する遺伝子などの発現が認めれられた。またHEVに選択的に検出された既知遺伝子のうち、出現頻度の高いmac25/TAFについてin situハイブリダイゼーションを行ったところ、HEVに選択的にシグナルが検出された。
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