我々はDNAトポイソメラーゼI阻害活性を有する制がん薬が少ないことに着目し、そのような活性を有する制がん薬の開発を大目標として本研究を行っている。リード化合物としてはFlexibacter topostinus sp.Nov.より見出されたトポスチンBをとりあげた。トポスチンBは強いトポイソメラーゼI阻害活性を有するが生産性が近く、微量にしか得られず、化学構造も完全には解明されていなかった。我々はこの不完全な構造を頼りに、いくつかの関連化合物を合成したが、その中にはかなり強いI型阻害活性を有するものが見出された。この合成研究の展開中に、小鹿らによりトポスチン類の単離、構造について再検討が行われ、その結果従来提出されていた構造とはかなり異なる構造であることが解明された。我々は再び新規トポスチン類の合成研究に挑戦し、効率的かつ立体選択的な上に、大量合成に向くトポスチン類の新規合成法を開発することに成功した。
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