研究概要 |
1.N-mycによって抑制を受ける遺伝子として単離されたマウスNdr1遺伝子には類縁遺伝子Ndr2,Ndr3が存在し、遺伝子ファミリーを構成している。 2.Ndr1,Ndr2,Ndr3の間で、発現組織は異なり、また、N-mycによる抑制を受けるのはNdr1だけであることから、類似の機能を持った蛋白質の遺伝子が異なった制御を受けることによって、細胞種ごとの必要条件を満たしていると考えられる。 3.Ndr1蛋白質は、G1後期では局在が細胞質に限られる。S期に入ると核に局在する。それ以降は核と細胞質に共存する。 4.転写抑制因子δEF1の転写抑制活性には、N-末端側の転写抑制ドメインが作用するケースと、δEF1蛋白質の中央部にCtBP1/2(アデノウイルスE1Aの抑制因子)がco-repressorとして作用する場合があることを明らかにした。 5.胚発生の過程で、δEF1の発現領域とCtBP1/2の発現領域には強い相関があり、δEF1の転写制御機能にCtBP1/2が積極的に関与していることが強く示唆された。 6.δEF1と類似の蛋白質構造を持つSMAD結合蛋白質SIP1の発現をδEF1と比較したところ、かなりの発現重複がみられ、これらの間の機能重複が予想された。 7.SIP1の組織特異的ノックアウトマウスを作成するために、LoxP sitesを持つSIP1遺伝子を標的遺伝子組み換えによってマウスに導入した。
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