研究概要 |
先年度発見したmPer1に続き、ショウジョウバエperiodホモローグであるマウス時計遺伝子mPer2,mPer3を世界で初めてのクローニングした。mPer2は、mPer1と同じく、リズム中枢のある視交叉上核で昼は強く発現し、夜はほとんど発現しないが、そのピーク時間は約4時間ずれていた(Genes Cells,1998)。もちろん、恒常暗条件下でもこのリズミック名発現は検出された。続いて発見したmPer3の発現パターンは、明暗条件下でも、恒常暗条件下でも、昼に広くなだらかなピークのある発現を示し、夜でも発現量が減るが確実に発現し、mPer1,mPer2と異なるパターンであった(EMBOJ.,1998)。 視交叉上核の発生時期に発現する転写因子をDIFFERENTIAL mRNA DISPLAY法にて検索した。その結果、生後10日間のみ発現するDNA結合ドメインを持つ転写因子lot1を単離した。このmRNAの発現は恒常暗条件下でも、著明なサーカディアンリズムを示した。この転写因子は、視交叉上核以外の脳部位にも強く発現し、それら部位の発達に関与していることが示唆された。詳細な高感度の検出法では、発生終了後もこの遺伝子発現は続くが、その意義は不明である。ごく最近、mPer1とへテロダイマーを形成する哺乳類Timelessのクローニングにも成功した(Genes Ce11s,1999).このヘテロダイマー形成は核の中でのみ見つかっており、今後の検討が待たれる。
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