我々はこれまでに、Eph受容体型チロシンキナーゼEphA3、EphA4がニワトリ胚運動ニューロンのサブタイプ特異的に、また発生過程に一過性に発現し、Ephファミリーのリガンドephrin-A2、ephrin-A5によりその軸索成長が阻害されることを見出し、これらのEph関連分子の生体内での機能を解析するため、機能阻害抗体を開発した。これらの機能阻害活性を持つ抗EphA4抗体と抗ephrin-A2抗体のエピトープを決定するために、それぞれのcDNAを用い、PCRにより部分cDNAをクローニングし、293細胞に発現させ細胞の免疫染色と培養上清のイムノブロットで解析した。その結果、抗EphA4抗体はシステインリッチ部分のほぼ中央、抗ephrin-A2抗体B3はN末端近くの約40アミノ酸にエピトープが存在することが明らかになり、さらに領域を小さくして解析中である。 さらに、阻害抗体の作用を解析する基礎として腰部運動ニューロンと後肢筋における受容体EphA3とEphA4、リガンドephrin-A2とephrin-A5の発現分布を免疫染色により詳細に解析した。運動ニューロンには全体にEphA4が先に発現され、EphA3は極一部の運動ニューロンに発現される。運動ニューロンにはまたリガンドephrin-A2とephrin-A5のmRNAの発現が観察されていたが、蛋白レベルでも弱いながら発現が観察された。一部の筋の筋周膜と神経線維には受容体EphA3とEphA4、リガンドephrin-A2とephrin-A5共に発現されていた。
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