近年、タンパク質の3次元構造変化(ミスフォールディング)に起因した疾病の発病機構に高い関心が集まりつつある。これらタンパク質の3次元構造変化は、α-へリックス構造からβ-構造への転移に代表され、さらにはそれらの不溶性アミロイド形成が疾病の原因と考えられている。これらタンパク質2次構造の超構造的集合体形成機構の解明がタンパク質機能ひいては疾病の原因解明につながる一道を開くものと考えている。しかしながら、巨大な天然タンパク質の立体構造変化の機構は非常に複雑である。そこで、天然タンパク質の複雑機構の設計モデル化を行うデノボ設計法に関する研究が興隆してきた。本研究では、本手法を適用しモデル化合成ペプチド系を用いることにより、立体構造変化(ミスフォールディング)機構の単純化および系統的評価を行い、疾病発現機構解明への一助となることを目的とした。簡略化したアミノ酸配列を有すペプチドを設計・化学合成し、そのペプチドが水溶液中でα-へリックス構造からβ-シート構造へと自己触媒的、自己複製的に転移し、アミロイド繊維へと自己組織化することを各種分光器や電子顕微鏡等を用いて明らかにした。さらに、そのペプチドに対して系統的なアミノ酸置換を行い、アミロイド繊維への自己組織化はペプチドの一次構造が厳密に認識されて行われることが分かった。
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