(1) CHB1の機能解析 これまで35Sプロモーター支配下でセンス及びアンチセンスRNAを恒常的に過剰発現させることでCHB1の機能解析を進めてきた。本年度はグルココルチコイド誘導型プロモーターを用いてCHB1の機能を調べた。まず、グルココルチコイドであるデキサメタゾン(DEX)を不定胚誘導時から与え、CHB1センスまたはアンチセンスRNAを過剰発現させた。その結果、いずれの過剰発現でも35Sプロモーターによる発現改変と同様に、センスRNAによる子葉の形態異常、アンチセンスRNAによる不定胚形成率の低下と魚雷型胚から幼植物体への進行の抑制、が起こった。また、不定胚誘導1週間後にDEXを与えてアンチセンスRNAを過剰発現させた場合でも、不定胚形成率が下がりカルス増殖が起こった。この結果から、誘導後1週間目以降にもCHB1が機能していることが示唆された。 (2) CHB3〜6の機能解析 CHB3〜6のセンス及びアンチセンスRNAの過剰発現実験をこれまで繰り返し試みたが、いずれの場合でも形態異常は見られなかった。 (3) CHB2の発現解析 CHB2についてin situ hybridizationを行い、不定胚形成における発現様式を解析した。CHB2はRNAゲルブロット解析により心臓型胚の時期に一過的に発現が上昇する事がわかっている。in situ hybridizationの結果、CHB2は心臓型胚では子葉原基の付け根部分に発現し、魚雷型胚では管状要素とその周辺の細胞に局在していた。
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