研究概要 |
1. mes1遺伝子のmRNA前駆体分子内のスプライシング調節配列(シス因子)の同定:5'エクソン内のシス因子の領域を決定した。5'エクソン(約330ヌクレオチド)のほぼすべてを欠失させるとスプライシングは構成的になった。ところが3'側210ヌクレオチドを残すとスプライシングが起こらなくなった。このことより、5'エクソン上には正因子と負因子が5'から3'の向きにタンデムに並んでいるモデルが推定された。 2. mes1遺伝子の減数分裂特異的なスプライシングに関与する新規遺伝子の同定:mes1遺伝子のmRNAスプライシングに特異的に関与するmsd2遺伝子のクローニングを試みた。その結果、msd2変異を相補する遺伝子が取得された。本遺伝子を破壊すると栄養増殖は正常であるが、減数分裂と胞子形成が欠損した。破壊遺伝子とmsd2変異遺伝子との遺伝解析を行ったところ、単離した遺伝子はmsd2遺伝子そのものではなく、マルチコピーサプレッサーであることが判明した。この新規遺伝子をspo21遺伝子と命名した。spo21遺伝子産物は5個の膜貫通ドメインをもつ702アミノ酸からなる新規タンパク質で、出芽酵母にもホモログが存在した。spo21遺伝子の転写は栄養増殖時にも低レベルで見られるが、減数分裂過程で増加する傾向が見られた。spo21変異株でのmes1のスプライシング効率を検討したところ、顕著に低下することがわかり,spo21遺伝子産物がRNAスプライシングにかかわることが明らかとなった。
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