研究課題/領域番号 |
10162203
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
豊島 陽子 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (40158043)
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研究分担者 |
枝松 正樹 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (60251328)
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キーワード | 細胞分裂 / 核分裂 / 微小管 / 紡錘体 / キネシン様タンパク質 / 分裂酵母 / ピボッティング / 運動連続性 |
研究概要 |
紡錘体極の形成と紡錘体の維持には、キネシン様タンパク質(KRP)のうちBimCサブファミリー(+端方向へ力を出す)と、Kar3サブファミリー(-端方向へ力を出す)の反対向きの力を出す2種のモータータンパク質が必要であることが、コウジカビ、出芽酵母、分裂酵母、アフリカツメガエル卵での研究から明らかになってきた。これら2種のモーター活性の分子的基盤を得るために、今回我々は、分裂酵母のCut7(BimC サブファミリー)とPkl1(Kar3 サブファミリー)のクローニングを行い、タンパク質を精製してその運動活性を再構成運動系で調べた。 Pkl1をGSTとBCCPの融合タンパク質として発現し、ビオチン-アビジン系を用いてスライドガラス上に固定すると、ATP存在下で微小管が滑走運動を行うことを観察することができた。極性マーカーのついた微小管を用いることによって、微小管の運動の極性は+端が先頭であり、Pkl1自身は-端へ向かうモーターであることを確認した。運動速度はばらつきがあるが、平均で0.038μm/秒であった。運動を観察した微小管のうち約半数は、1点を中心にピボッティングしながら前進運動していくことが観察された。このピボッティングの現象は、ふれの角度が最大150度で、4分間にわたり10μmの移動距離で起こるものもあり、これらの結果は、キネシンと同様に、1分子のPkl1が微小管上を連続的に移動できる能力(processivity)をもつことを示唆している。KRPにおいてはキネシン以外にprocessivityをもつことが確認されている分子はなく、-端モーターであるPkl1がこのような能力を持つことは、KRP全体からみても、また紡錘体機能を考える上でも大変興味深い。
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