細胞分裂を制御するユビキチン依存的蛋白質分解は後戻り出来ない細胞周期の制御機構として大変有効である。APC細胞分裂期特異的なユビキチンリガーゼであるが、その構成因子は出芽緯母では13個、啼乳動物では8個のサブユニットが同定されていたが、その違いについては不明であった。そこで出芽酵母のみで見出されているAPC10/DpclとAPC11をヒト細胞ら単離し構造を決定した。またこれら蛋白質は他のAPCと結合していること、細胞内局在もキネトコアと中心体にあり、APCと共通であることが判明した。したがってヒトと酵母ではAPCの構成蛋白質に違いはないと結論した。またAPCの活性制御に関しては、APCに結合しているCdc20がMPFによってリン酸化されるとN℃を活性化しCut2/PdslやCyclin Bをユビキチン化するが、PKAやMad2によって抑制されることを明らかにした。Cdc20は脱リン酸化されるとAPCの活性化は出来ない。またCdhlはMPFによりリン酸化されているとAPCに結合しないが、脱リン酸化されるとAPCに結合しAPCはCycin B等をユビキチン化する。これもPKAのリン酸化により抑制されるがMad2によっては制御されない。このようにM期のAPCは時期特異的に特異的基質を自然な時間の流れの中で巧みに制御されながらユビキチン化す ることが判明した。APCと活性化因子のリン酸化脱リン酸化、2種の活性化因子Cdc20とCdhl、チェックポイントによる阻害因子によって特異的基質をタイミング良くAPC活性は制御されることを明らかにした。
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