研究概要 |
本年度の最大の成果は、ヒト4p15から単離した単位長4746bpがらなるRS447タンデム反復配列について、詳細なマッピング、コピー間の変異度、集団内のコピー数の多型度、さらに、種間保存性を踏まえて提唱していた「メガサテライトDNA」という新しい概念をついに公式に認められたことである(Gondo et al.,Genomics54:39-49,1998)。7月に福岡で開催された国際集団遺伝学シンポジウムにおいて、分子進化の面からも注目されるとともに、2月にはKeystoneシンポジウム「DNA複製と組換え」においても発表する。さらなる成果として、家系解析の高解像パルスフィールド電気泳動法を確立、親子間における実際のコピー数を比較し、得られた10%というメガサテライトDNAの超可変性について、投稿準備中である(Okada,Gondo et al.)。また、この4746bp反復単位にコードされているタンパク質の解析も進み、活性をもつ脱ユビキチン化酵素をコードし発現していた。これも投稿準備中である(Saitoh,Ikeda et al.)。また、これまでは、ヒトの遺伝子であったため、家系分析と培養細胞系に実験解析が限られていた。そこで、哺乳動物種間に保存されていることを利用し、モデル動物作成に取りかかった。すでに、チャイニーズハムスターから、RS447メガサテライトDNAの相同遺伝子を単離することに成功した。このチャイニーズハムスターのRS447相同遺伝子クローンを用いることによって、これまで不明瞭な結果しか得られなかったラット、マウスからも明確な解析結果が得られる様になった。ラットにはRS447メガサテライト相同配列があることが判明した。一方、マウスにおいては、RS447相同遺伝子自体は存在するらしいものの、タンデム構造をとらない最初の例となった。
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