既に我々は、生薬・常山(基原植物:Dichroa febrifuga)アルカロイド(febrifugine、isofebrifugrin)が熱帯熱マラリア(Plasmodium palciparum(FCR-3))を用いたinvitroの試験およびマウスでのin vivo抗マラリア試験においてきわめて強力な抗マラリア活性を示すことを明らかにしている。本研究では、febrifugine、isofebrifugineの各種誘導体を調製し、化学構造と抗マラリア活性の相関を検討した。その結果、febrifugine、isofebrifufineとアセトンとのマンニッヒ反応生成物Df-1、2にそれぞれ0.32×10^<10>M(選択性(細胞毒性/マラリア原虫毒性)=440)、1.8×10^<-9>M(選択性=833)の強い活性が認められた。しかし、これらの化合物の還元体やfebrifugine、isofebrifugine分子に存在するピペリジン環の窒素が修飾された誘導体の活性は1/100-1/1000に低下した。一方、Df-1、2はin vitro生物試験においてchloroquine耐性株であるP.falciparum K1株に対しても、同様の活性を示した。なお、P.bergheiを用いたin vivo試験の結果、Df-1、2のED_<50>値はそれぞれ2.5mg/kg、60mg/kgであり、活性に大きな差が見られた。
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