1. <目的>マラリア原虫に対する防御反応にはIFN_Y、TNFα、それらに誘導される一酸化窒素(NO)や活性酸素が重要な役割を演じていることがわかってきた。サイトカインのマラリア感染防御におけるその役割について、IFN_Yノックアウトマウス(IFN_Y^<-/->)、TNFαノックアウトマウス(TNFα^<-/->)を用いて明るかにする。 2. <研究の成果> 本実験で用いたマラリアの株は致死的強毒株P1asmodlum berghel NK65(PbNK)とX線照射非致死的弱毒株P.berghel XAT(PbXAT)で、PbNKは15日〜30日の間で致死となり、PbXATは10%以下の感染率を示した後治癒する。ヌードマウスでは、PbXATに対して致死的結果をもたらすことが知られている。IFN_Y^<-/->マウス、TNFα^<-/->マウスも同様に致死的感染となった。IFN_Y、TNFαなどのサイトカインは感染防御に重要な役割を演じていることがわかった。IFN_YR^<-/->マウスを用いたTsuji et.al.の報告では、弱毒株の防御免疫の解除はない。TNFα^<-/->マウスでの結果はTNFαがかなり本質的な影響を持っていることを示唆する。またTNFαの産生がIFN_Yの刺激によるダウンストリームに位置するかどうかについてはさらなる検討を要する。 非免疫マウスにPbNKを感染させると、IFN_Y、TNFαの産生はみ己れたがマウスは致死的感染となった。PbXAT免疫マウスにPbNKを感染させるとIFN_Yの産生なしに高濃度のTNFαの産生がみられ、PbNKは治癒し感染防御が成立した。これらのことからIFN_Yがマラリアの防御免疫誘導に関与し、TNFαが重要なエフェクターとして機能していることが示唆された。
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