研究目的:リンパ球の増殖、アポトーシスの制御には申請者が発見した細胞周期制御因子であるP27CDK阻害蛋白が重要であることが示されている。リンパ球が細胞周期を開始する際にはP27はユビキチン・プロテアソーム蛋白分解系によって分解される。この際、P27のアミノ酸T187番がリン酸化されることが分解の開始シグナルとして重要であり、このリン酸化を行うのはサイクリンE・CDK2である可能性が報告されている。しかるに、細胞周期を停止した細胞がこれを再開するときにはサイクリンE-CDK2の活性は通常存在しない。従って、P27が分解される際のT187番がリン酸化を担うリン酸化酵素がサイクリシE・CDK2以外に存在すると考えられるため、本研究ではその同定を試み、細胞の増殖と分化におけるCDK阻害蛋白の調節機構を明らかにすることを目的とした。 研究成果:マウスのIL-3依存性のpro-B細胞であるBAF細胞にBcl-2を強制発現させた細胞株(東京大学谷口維紹先生より供与)においてp27のT187を特異的にリン酸化する酵素を検索した。BAF細胞抽出物より抗CDK2抗体によってサイクリンE・CDK2を含むCDK2活性をimmunodepletionした後にも細胞抽出物中にはp27のT187を特異的にリン酸化する活性が残存していることが明らかになった。このことより、この細胞抽出物中にサイクリンE・CDK2以外のp27のT187に対する特異的なリン酸化酵素が存在することが示唆されたため、現在その分離精製を試みている。
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