研究概要 |
H/K-ATPaseの末端の多重リン酸化に関して,関与するTyr-kinaseとSer-kinaseを免疫化学的手法で同定することに成功し又Tyr-phosphataseに関して新たな酵素で有る可能性が示唆された。さらに従来のin vitroで検出されていた、可逆的リン酸化が胃壁細胞で生じていることが明かにされた。多重リン酸化とP-typeATPasesのoligomer構造との関係を明かにするため膜Na/K-ATPase及びH/K-ATPaseの機能的単位が_-protomerを単位とするoligomer構造からなることを直接証明するための研究をおこなった。その結果、触媒鎖あたりのRbの結合はRb閉塞酵素、Mg,Naと低濃度ATPに依存するRb閉塞、Mg,Naと高濃度ATP存在下でのRb閉塞でそれぞれ2:1:0.5となった。ATPの最大結合量は高濃度のEDTA存在下で触媒鎖あたり0.75、ATPase反応中には、0.25に低下した。さらに興味深いことはATPase反応中の1/2の触媒鎖がリン酸化中間体を形成しているさい、1/4の触媒鎖にはATPが、他の1/4の触媒鎮にはADPとPiのいずれも酸に不安定な形で結合していることがはじめて明かにされたことである。これらの結果は、Na/K-ATPaseが4量体構造をとり、P-type ATPaseに共通の反応中間体EPと同時に筋収縮に関与するMyosin ATPaseと類似の反応中間体E-ADP-Piを形成することを初めて示したものである。同様な結果がH/K-ATPase、Ca-ATPaseでも生じている可能性が示唆され目下詳細を研究中である。
|