BCR(B細胞抗原受容体)はB細胞に発現しており、BCRを介して細胞内プール及び細胞外からのカルシウム動員が引き起こされ、このカルシウム動員は、NF-AT活性化・アポトーシス誘導に必須の役割を担っている。 私たちの研究グループでは、すてにERに存在するIP3レセプター(IP3R)がこのカルシウム動員に必須であることを、3種類のIP3Rアイソフォーム欠損B細胞を樹立することにより示したが、本研究では1種類のアイソフォームのみ発現している細胞を樹立し、それぞれの機能的差異を検討した。その結果、タイプ2IP3Rが持続的カルシウムオシレーション発生に重要であることを明らかにした。 また、SHIP欠損細胞を樹立することにより、IP3のみならず、PI-3キナーゼによってBCR刺激依存性に産出されるPIP3が、ER内のカルシウムストアーを、より枯渇さすことによりカルシウム動員に関与していることを明らかにした。またPIP3のターゲット分子はチロシンキナーゼBtkであり、BtkのPHドメインにPIP3が結合することにより、Btkが膜分画にリクルートされ活性化されることが、ERカルシウムストアーを枯渇させるのに重要であることが判明した。
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