今年度は葉緑体RNAプロセシングと翻訳間での相互作用、また翻訳産物による翻訳フィードバック機構を明らかにするために以下のような解析を行った。 1. RNAエディティングと翻訳間の相互作用を明らかにするために、タバコ葉緑体psbL mRNAを基質としin vitro RNAエディティング系、in vitro翻訳系による解析を行った。まず葉緑体抽出液を用いてin vitroで正確なRNAエディティング反応が行われる条件を詳細に検討し効率よく再現性の高い系を構築した。この系を用いて変異mRNAによる解析を行い、エディティング部位上流16ntの領域がエディティングに重要であり、さらに競争阻害実験によってこの領域にトランス因子が相互作用することが明らかになった。16ntからなる領域をスキャニング変異を導入したところ全ての変異RNAにおいてエディティング反応が起こらなかったことからl6nt全体が重要であることが明らかになった。同様の変異mRNAによりin vitro翻訳系によりpsbL mRNAの翻訳制御領域を解析した結果、翻訳にも上流16ntの領域が重要であることが明らかになり、エディティングと翻訳のシス配列がオーバーラップしていることが明らかになった。この系を用いることによりエディティング因子と翻訳因子の順序だったmRNAとの相互作用機構が明らかになると期待される。 2. 光合成関連遺伝子の発現過程で見られる翻訳フィードバック機構を明らかにするために光合成産物が存在しない非光合成培養細胞由来の色素体抽出液からin vitro翻訳系を開発した。
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