研究概要 |
我々は分子シャペロン機能を持つHsp70,Dnak,14-3-3蛋白にATPase活性と共にATP合成活性のあることを見出し、その酵素学的性状解析から、この活性はNucleoside Diphosphate Kinase(NDPK)に類似することをこれまでに見出してきた。さらにその反応中間体のPhosphoenzymeの補足に成功した。以上の背景を基に、分子シャペロンが基質蛋白質と結合してから立体構造変換を誘導し、基質解離へ導く過程の中で、シャペロン分子の持つNDPK活性がどのように機能しているかについて解析を行った。本年度の研究において、我々は細胞内蛋白質分解の主役を担っている20SプロテアソームにHsp70に類似したNDPK活性のあることを新たに見出した。プロテアソームは7種のαサブユニットと7種のβサブユニットが、それぞれ2個づつ集まって、合計28個のサブユニットがシリンダー状に集まり、全体としてシャペロニンに類似した構造を持つ分子である。このプロテアソームの中でこれまでX,Y.Zサブユニットの3種のサブユニットにプロテアーゼ活性のあることが確認されていたが ほかのサブユニットの機能については不明であった。我々はβサブユニットの中でZサブユニットにHsp70に類似したNDPK活性のあることを確認し、この活性がプロテアソームの持つプロテアーゼ活性と共役していることを確認した。以上の事実は、プロテアーゼがどのように基質の立体構造を確認し、その立体構造の変化を誘導しているかを解析する糸口となるものと期待している。
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