• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1998 年度 実績報告書

ショウジョウバエの位置情報遺伝子ネットワーク

研究課題

研究課題/領域番号 10173208
研究機関東京大学

研究代表者

多羽田 哲也  東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教授 (10183865)

キーワード遺伝子カスケード / モルフォゲン / dpp / dad / brinker
研究概要

シグナル分子により制御される転写のカスケードは形態形成を理解するうえで欠くことのできない研究課題である。ショウジョウバエのDpp(Decapentaplegic)はモルフォゲンとして機能し、個々の細胞の位置価を設定する働きを持つ。このメカニズムを理解するためにDppにより発現が制御されるターゲットの探索を行ったところ相補的な発現パターンを示す2種の遺伝子、dad(daughters against dpp)とbrk(brinker)を得た。dadはSmadに相同性を持つ蛋白質をコードし、その発現はdppにより正に制御されている。一方、brkの発現はdppにより負に制御されている(dadとbrkは相補的な発現パターンを示す)。機能喪失および機能獲得変異の解析から、両者はDppのターゲット遺伝子の発現を負に制御していることが明らかとなった。DadはTGF-βファミリーの信号伝達を負に制御するSmad6,7と同様に、リセプターによるMadのりん酸化を阻害することによって、Dppシグナルを制御していると考えられる。brkがコードする蛋白質は既知のモチーフを持たないが、ショウジョウバエの転写因子Dsxに弱い相同性があることから転写因子として機能することが示唆される。DppはBrkの発現を抑えることによってターゲット遺伝子の発現を制御していると思われる。Brkが脊椎動物においても機能している可能性を調べるために、Xenopus初期胚における作用を検討した。Brk mRNAの注入によって胚の背側化が観察され、BrkとBMP-4 mRNAの共注入により両者の効果が相殺されたことから、BrkはBMP-4の作用を特異的に阻害することが示された。脊椎動物においてもBrkはBMP-4のターゲットの発現を抑制している可能性がある。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Minami,M.et al: "brinker is a target of Dpp in Drosophila that negatively regulates Dpp-dependent genes" Nature. (in press).

  • [文献書誌] Inoue,H.et al: "Interplay of Signal Mediators of Decapentaplegic (Dpp): Molecular Characterization of Mothers against dpp,Medea,and Daughters against dpp" Mol.Biol.Cell. 9. 2145-2156 (1998)

  • [文献書誌] Nakayama,T.et al: "Xenopus Smad8 acts downstream of BMP-4 to modulate its activity during vertebrate embryonic patterning" Development. 125. 857-867 (1998)

URL: 

公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi