研究課題/領域番号 |
10173233
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研究機関 | (財)東京都臨床医学総合研究所 |
研究代表者 |
藤田 尚志 財団法人東京都臨床医学総合研究所, 腫瘍細胞研究部門, 研究員 (10156870)
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研究分担者 |
木村 洋子 財団法人東京都臨床医学総合研究所, 腫瘍細胞研究部門, 研究員 (80291152)
米山 光俊 財団法人東京都臨床医学総合研究所, 腫瘍細胞研究部門, 研究員 (40260335)
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キーワード | インターフェロン / ウイルス / 転写制御 / IRF / 培養細胞 / 転写因子 / サイトカイン / コアクティベーター |
研究概要 |
ウイルス感染が起きた細胞内では、はじめにIFN遺伝子を含む種々の遺伝子の発現が誘導され、抗ウイルス作用などの生体防御機構が働くことになる。我々はこの一連性化機構のうちIRF-3が最初に活性化される転写因子である事を明らかにした。 IRF-3はほとんど全ての細胞に比較的大量に発現されでいるが、その分子内に在在するNuclear ExportSignal(NES)の機能により細胞質に局在しており、しかも転写因子としての機能を持たない不活性型である。しかしながら、ウイルスあるいは二重鎖RNA刺激にによってC端側に存在する特定セリン残基がリン酸化されることにより核内に移行し、核内に存在するp300/CBPと複合体を形成すると共にDNA結合能を獲得することにより活性型に変換する。その結果、上記の遺伝子活性化が引き起こされる。 本年度はこの活性化の最も重要な鍵を握ると考えられるIRF-3の燐酸化酵素の本質に迫ることを目的に解析を進めた。 培養細胞株を二重鎖RNAによってある条件で処理するとアボトーシスが強く誘導されることを見い出した。この条件下ではIFN遺伝子の発現が強く誘導されている。大量の細胞をこの条件で処理することにより選別し、細胞死に耐性のクローンを多数得ることができた。これらに対して二重鎖RNAによるIRF-3の燐酸化誘導能を検討したところ、幾つかのものはIRF-3の燐酸化が観察されなかった。しかしこれらの細胞ではNF-κBの誘導は親察されることから、単に二重鎖RNAの細胞への取り込みなどの段階での阻害ではないと考えられた。さらにこれらの細胞は、ウイルス感染等、様々なプロトコールで誘導をしてもIFN遺伝子が存在するにもかかわらず、IFNの産生がほとんどみられない事も明らかとなった。 このような機能欠損細胞について、相補性の検討、cDNAライブラリーによる機能相補などにより、IRF-3燐酸化の分子機構を明らかにして行きたい。
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