研究課題/領域番号 |
10174217
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
廣瀬 哲郎 名古屋大学, 遺伝子実験施設, 助手 (30273220)
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研究分担者 |
杉田 護 名古屋大学, 人間情報学研究科, 助教授 (70154474)
杉浦 昌弘 名古屋大学, 遺伝子実験施設, 教授 (80027044)
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キーワード | 葉緑体 / RNAエンディング / in vitro系 / シス配列 / トランス因子 |
研究概要 |
今年度は葉緑体のRNAエディティングの分子機構について明らかにするために以下の事柄について解析を行った。 1. 昨年度開発に成功した葉緑体in vitro RNAエディティング系の諸条件を詳細に至適化し効率よく、再現性の高いin vitro系を確立した。RT-PCR法を用いてin vitroエディティング反応後の基質RNAから特異的cDNAを増幅し、プラスミドベクターにクローニング後DNA塩基配列解析をした結果、in vitroエディティング反応は正確なエディティング部位のみで起こっていることが確認された。 2. in vitroエディティング系を用いてエディティングのシス配列とトランス因子の解析を行った。部位特異的変異や欠失変異を導入した基質RNA(psbL,ndhB mRNA)を合成しin vitroエディティング効率を測定したところ、エディティング配列上流16nt、下流10ntがpsbLのエディティングに重要であること、ndhBの場合は上流配列のみが重要で下流配列は必要ないことを見出した。RNAオリゴヌクレオチドを用いた競争阻害実験によりトランス因子がpsbLとndhB mRNAのエディティング部位上流に相互作用することを明らかにした。さらに交差競争阻害実験によりそれぞれのトランス因子は部位特異的であることを見出した。 3. エディティング系のマイクロコッカルヌクレアーゼ処理、AMTクロスリンク法により、トランス因子は他のエディティング系で見出されているようなガイドRNAではなくタンパク質因子である可能性が高いことが示された。 4. UVクロスリンク法によりエディティング部位とその上流近傍領域に特異的結合するRNA結合タンパク質の検出に成功した。以上の結果から全く未知であった葉緑体RNAエディティングの機構が明らかになり始めた。
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