研究課題/領域番号 |
10176238
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研究機関 | 国立精神・神経センター |
研究代表者 |
関口 正幸 国立精神・神経センター, 神経研究所疾病4部, 室長 (80260339)
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研究分担者 |
和田 圭司 国立精神, 神経センター神経研究所疾病4部, 部長 (70250222)
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キーワード | 神経細胞死 / グリア / アストロサイト / ミクログリア / グルタミン酸 / カルシウム / PEPA / 脳 |
研究概要 |
本研究では、過剰に作用するとニューロンに細胞死を引き起こす興奮性神経伝達物質グルタミン酸が、グリア細胞に作用した場合どのような細胞応答を引き起こすのか検討した。最近、グリア細胞の中で、オリゴデンドログリアはニューロン同様グルタミン酸により細胞死を起こしやすいことが報告された。一方、アストログリア・ミクログリアは高濃度のグルタミン酸に露呈されても細胞死を殆ど起こさない。これらグルタミン酸耐性の細胞が、グルタミン酸に応答してどのような挙動を示すかは興味深い。ラット脳由来培養アストログリア・ミクログリアにおいて、細胞内カルシウム濃度の変化を検討すると、ミクログリアはグルタミン酸に殆ど応答しなかった。一方、アストログリアではグルタミン酸により強いカルシウム上昇が観察された。このカルシウム応答は、代謝型グルタミン酸受容体を経由することが既に知られている。アストログリアにはイオンチャネル内包型グルタミン酸受容体(AMPA型)も存在するが、この受容体を介したカルシウム応答は、受容体自身の非常に素早い脱感作のために抑制されていることが、我々の開発したAMPA受容体増強物質PEPAを用いて確認された。興味深いことに、アストログリアとミクログリアが混生した培養系において、グルタミン酸でアストログリアを刺激すると、アストログリアに生起した強いカルシウム応答に数秒遅れてミクログリアに中程度のカルシウム応答が起こる例が観察された。上記したように、ミクログリアはグルタミン酸に対してカルシウム応答はしないので、このミクログリアのカルシウム応答は、投与したグルタミン酸によるものではない。一つの可能性として、グルタミン酸刺激に呼応してアストログリアからミクログリアにカルシウム応答を引き起こす物質が放出される系の存在が考えられた。現在この物質の同定を行いグルタミン酸により活性化される異種グリア細胞間ネットワークの存在とその神経細胞死防御における役割を検討している。
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